Q:初めて受診する時は、いつ頃がよいですか?

受診するタイミングは生理前や、生理後などの、どの時期でお越しになられても結構です。その時に可能な検査から開始していきます。

月経周期と最終月経はお伺いしますので、確認してお越し下さい。

Q:初診時は夫婦そろって受診したほうがよいですか?

可能な限りご夫婦でお越しください。男性・女性不妊の検査を同時に進めることができます。

:他院からの転院を考えております。

紹介状はなくても問題ありません。前医での検査結果などはお持ちください。

Q:排卵日の予測方法は?

一般的に排卵は卵胞が大きくになるにつれてエストラジオールというホルモン値が高くなります。卵胞径が18㎜程度になり成熟してくるとLHサージが始まります。LHサージのピークから約1日半で排卵されます。

そこで来院時に超音波を使い卵胞の大きさや子宮内膜の厚みを測定し、血液検査(エストラジオール値)や、尿検査(LHサージ測定)もあわせて実施することで排卵日を予測します。

Q:卵胞は、どのくらいの大きさで排卵するのでしょうか?

自然周期では17~22㎜程度で排卵することが多いです。

人や周期などで多少の差はありますが、個人間ではだいたい同じ大きさで排卵するといわれています。

またクロミットを服用すると通常より少し大きな卵胞径で排卵され、複数の卵胞が大きくなる場合もあります。

Q:以前、子宮卵管造影検査(HSG)時に体調不良となり中止しました。再検査を実施した方がよいですか?

体調不良になった原因にもよりますが、可能であれば再検査することをお勧めします。

担当医師とご相談ください。

Q:体調が悪い日は精液検査を実施しないほうがよいですか?

体調の悪い日や熱のある日は、所見が悪くなる場合もありますので、可能な限り避けられるか、別日に再度検査を実施することをお勧めします。

また採取前は禁欲期間3日程度がよいといわれています。

Q:精液検査の結果にバラつきがあります。

検査結果は、その日の体調・ストレス状態・禁欲期間などの様々な理由により、毎回少しずつ違うものです。数回検査を実施しても所見が悪い場合は泌尿器科への受診をお勧めしています。

Q:精子の状態から、どのような治療方法が選択されるのですか?

精子所見が良好の場合はタイミング法、軽度の運動率の低下や数の減少が認められる場合は人工授精(AIH) 、中等度~重度の場合は体外受精を検討します。

また特に重度で精液中に精子がみられない場合等は、手術による精子採取の適応となる場合もあります。

Q:精子を増やすには、何をしたらよいですか?

精子の数や運動率を明らかに増やすことを証明した科学的な報告は残念ながらありません。

Q:精子検査結果の見方を教えてください。

精検検査準値(WHO 2010)

精液量 ≧1.5ml
総精子数 ≧39(106/精液量)
精子濃度 ≧15(106/ml)
運動率 ≧40%
前身運動率 ≧32%
生存率 ≧58%
正常形態率 ≧4%

精子検査はその日の体調等により変化する場合があります。

Q:タイミング法はどのような方法ですか?

卵子は排卵後1日程度しか受精できない為、定期的に診察を行うことで排卵日を予測します。予測した排卵日にあわせて性交渉を行うことをタイミング法といいます。

ただこの方法は、明確な不妊原因(卵管閉塞等)がある場合には意味をもたない為、タイミング法と並行して不妊原因に関する検査を実施していきます。

Q:タイミング法からのステップアップの目安はいつ頃でしょうか?

タイミング法を3~6周期程度実施しても妊娠が認められない場合は、人工授精へのステップアップを提案します。6周期はあくまで目安ですので、年齢やその他の要因がある場合には早期のステップアップをお勧めする場合もあります。

Q:人工授精とは、どのような方法でしょうか?

精液を洗浄・濃縮したものをカテーテルという細い管を使って子宮に直接注入する治療法です。精子を洗浄することで、精子の動きを止めてしまう物質や白血球、脂肪球、未熟精子、死んだ精子、奇形精子などが取り除かれます。

妊娠率が約6~8%で高い妊娠率ではありませんが、タイミング法に比較して約2倍の妊娠率が報告されています。

Q:人工授精(AIH)実施後に何か気をつけることはありますか?

特に気をつけて頂く決まりごとはありません。通常の日常生活どおりお仕事をして頂いて大丈夫です。飲酒も適量であれば問題ないかと思いますが、あくまで妊娠初期かもしれないということを前提にお考え頂き、ご自身で判断頂ければと思います。

また人工授精実施日のお風呂ですが、感染予防の為にシャワーのみとして頂き、湯船にはつからないようお願いしております。

Q:人工授精(AIH)は何歳まで有効でしょうか?

人工授精(AIH)だけでなく、不妊治療は年齢とともに妊娠率が低下していきます。45歳以上での人工授精の妊娠率は、とても低くなっています。

Q:結婚しなくても人工授精(AIH)は実施できます?

当院では婚姻関係が確認のできない方の人工受精はお断りしております。初回の人工受精時に戸籍を提出して頂くことで確認を実施しております。

Q:体外受精とは?

注射剤等の誘発剤を使用することで成熟した卵子を複数個育て体外に取り出します。

その後調整した精子と受精させることで受精卵をつくり、一定期間育てて体内に戻していく方法となります。

不妊治療は基本的に保険適用とならないため、費用は高額となってきます。

一般的に採卵:15~35万円、移植:10~20万円の費用を設定しており、その他に胚盤胞までの長期培養、胚凍結保存などの治療時、お薬や検査などの費用も別途必要となります。

Q:体外受精の適応に不妊期間はどのくらい等の決まりはありますか?

日本産婦人科学会の不妊定義は「1年以上避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊とする。」とあります。その後の治療は体外受精までのステップアップの質問で述べたとおりとなります。

Q:体外受精を実施するために条件などはあるのでしょうか?

通常はタイミング法6周期→人工授精6回→体外受精へという流れがステップアップの目安となります。ただ明確な不妊原因(両側卵管閉塞・精子所見が重度の不良等)ある場合や、年齢等に応じて、次へのステップアップを早期にお勧めすることもあります。

Q:治療を受けるには何か済ませておかないといけない検査とかあるのですか?

体外受精(顕微授精を含む)をどのような患者さんに行うかどうかについては、世界中の各々の施設が様々に決めており、一定したものはありません。日本では「不妊症であり、体外受精以外の治療法では妊娠が望めない夫婦(法的に認められた)に対してのみ行う」ことになっています。しかし、体外受精以外の治療法では妊娠が望めないかどうかを判断することは一部の(卵管がないとか運動精子が0であるとか)場合を除いて極めて困難です。したがって、いま診てもらっている先生から体外受精を勧められたとか、体外受精ってどんなものなのかなと思っている方は遠慮なく一度話を聞きに来てみて下さい。

Q:治療を受けるにはどれくらい病院に通院しなくてはならないのですか?

  1. 体外受精についての説明を受ける時(ご夫婦で来院)
  2. 治療周期の週3日(例えば、月、水、金曜日)は外来で診察があります。主に、超音波検査による卵胞計測と血中E2(卵巣ホルモン)値測定をします。ふつう排卵誘発には7〜10日間かかるため3〜5回の来院が必要となります。残りの週4日(例えば、火、木、土、日曜日)は原則的には注射(HMGまたはFSH製剤)だけなので、必ずしも当院への通院は必要ありません。自宅近くの病院(できれば産婦人科が望ましい)で注射を受けてもらっても構いません。
  3. 入院は必要ありません。採卵当日は午前7時に来院してもらいます。(ご主人も同じ時間に来てもらい、精子を取っていただきます)7時30分より静脈麻酔をかけ採卵を開始します。(通常15分程度)

Q:体外受精の適応は何歳までですか?

日本では体外受精に年齢制限は設けられていませんが、女性の年齢が上昇するにつれて卵の質は低下し、染色体異常等の割合が増加します。それに合わせて妊娠率の低下や、流産率が高くなります。

40歳代の卵子の質には個人差がありますが、一般的に43歳を越えると妊娠率は非常に低くなります。

Q:体外受精を行うことで、合併症などは起こりますか?

採卵でのおもな合併症は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。

OHSSでは排卵誘発剤を使用することで卵巣腫大が起こり、腹痛や吐き気や尿量の減少等が出る場合があります。重症の場合には腹水貯留や血栓症等が起こる危険性がありますが、採卵後の症状等は定期的に経過観察し、早期の治療を勧めることで重症化を防いでいます。

移植では多胎妊娠や流産、子宮外妊娠等があげられます。

一般的に体外受精での流産率は約20~25%といわれ、自然妊娠での流産率約10%に比べ高くなっています。 その要因は受精卵の染色体異常や、母体年齢等が関与していると考えられます。

Q:費用はいくらぐらいかかるのですか?

残念ながら体外受精は現在のところ保険適用外です。我々としては、この治療法が一日も早く保険適用になるよう以前より政府に働きかけていますが、年間約200億円の医療費増しになることが予想され、財政困難は現状により実現していません。したがってこの治療を目的とした検査や投薬はすべて自費となります。そのため当院で体外受精の治療を受けると費用は総額40〜60万円(外来費用別)かかります。

Q:他院で凍結した胚の移植も可能ですか?(凍結胚の移送)

凍結胚の移送は、凍結した病院での了承を頂くことが前提となり、双方の同意を持って御本人様の責任において移送を行って頂きます。当院では必要に応じて移送用タンクの貸し出しも行っておりますので、費用等ご質問があればお声かけください。

Q:精子・卵子の凍結は希望すればだれでもできるのでしょうか?

精子は婚姻関係があり、ART治療に使用目的であれば、誰でも凍結可能です。

ART治療にて受精した胚を凍結する以外で、受精前の卵子凍結に関しては当院では基本的に行っておりません。

産婦人科学会に定められた癌治療の為などの要件を満たされた方には実施可能となっております。

Q:凍結することでデメリットはありますか?

凍結することで、移植に向けて身体の状態を整えることができますが、やはり費用がかかります。当院では凍結時に6万円(半年間保管)、その後は1年毎に6万円という形で費用を設定しております。

また凍結・融解を実施すると透明帯が厚くなることが多く、そのまま移植すると孵化(ハッチング)が起こりにくい為、アシストハッチングというレーザーを使用し透明帯を薄く削る作業を行っております。

Q:移植後のホルモン補充はいつまで続けますか?

ホルモン補充周期の移植後、妊娠反応が陽性の場合は妊娠9週までを目安にホルモン補充を続けていきます。

Q:初めての移植ですが、2個移植は希望できますか?

日本産婦人科学会では多胎になるリスクを考え、35歳以下の初回の体外受精では1個移植とするよう定められています。

多胎になると赤ちゃんのその後の成長だけでなく、母体へのリスクも起こりうる為、初回以外でも原則1個移植としております。

移植を数回行っても妊娠がみられない場合や、胚のグレード、年齢等により2個移植を行う場合もあります。その都度の状態で移植前に相談し決定させて頂いております。

Q:ピル(プラノバール)を服用する理由を教えてください。

まずピルという薬は女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の配合薬です。ピルは服用量により様々な効果があります。不妊治療では中用量を使用することが多く、一時的にホルモン値を高め、脳に黄体期であると認識させることで、卵胞発育や排卵のためのホルモン分泌をおさえる作用があります。体外受精前に排卵スケジュール調整の為に使用する場合や、生理不順の場合に周期のリセットを行う場合等に服用します。

Q:クロミットとはなんですか?

軽度の排卵障害(第1度無月経や無排卵周産期症)に対しては、治療の第一選択として使用する場合があります。クロミットにて排卵を誘発し、排卵にあわせてタイミング法や人工授精や採卵等の治療を行います

Q:卵をつくる為の誘発により早発閉経や、卵巣癌になりやすい等のリスクはありますか?

現在はAMHという検査が注目され、卵巣予備能については個人差が非常に大きく、年齢での閉経予測時期とは一致しないケースが多くあると分かってきました。

その為、年齢だけで判断するのではなくAMHを測定することでご自身の卵巣予備能がどれくらいであるかを予測することができるようになり、誘発刺激によって早期閉経を引き起こすわけではないと分かってきました。

また卵巣癌等のリスクについては、不妊にて誘発刺激を使用した患者様に、そのような症状が多くみられている等のデータは特にありません。

QAMHとは、どんな検査項目ですか?

「卵巣予備能=卵子のもとの数の目安」となる検査項目です。この値は年齢とともに低下し、低値であれば卵子のもとの数が少ないと考えられます。

ただ値が低いからといって妊娠率が低いという風に妊娠率に直結する検査項目ではありません。今後の治療方針等を決める際に参考にされると良いでしょう。

Q:体外受精(媒精)と顕微授精の違いはなんですか?

体外受精は採卵にてとれた卵子に調整した精子をふりかけ一晩おいておくことで、自然に受精を促す方法です。顕微授精はひとつの卵子に対してひとつの精子を選び、顕微鏡下で針を使い卵の中に精子を注入することで受精を促す方法です。

調整後の精子の状態や採卵した卵の個数等により、方法を選択していきます。

Q:どのようなときに顕微授精(ICSI)を実施するのが望ましいですか?

精子所見が重度に不良の場合、または精子が良好でも体外受精での受精率が低い場合は、顕微授精をお勧めします。

Q:顕微授精(ICSI)を行うことのメリット・デメリットはどんなところですか?

メリット:卵子の中に入っていく力の弱い精子の場合や、精子数が少ない等の精子所見が悪い場合にも受精することが可能。ひとつの卵子に対して複数の精子が受精してしまう多精子受精を避ける事ができる等があります。

デメリット:物理的に針を刺すという行為で衝撃をうけ卵子に傷をつけてしまうことや、卵子が死んでしまう危険性がある。また現在顕微授精で生まれた子供は30歳程度で、安全性の確保が十分とはいえない。(これに関して、顕微授精での異常児の発生が高くなるという明らかな科学的な報告はみられていない。)

Q:良い胚とはどのような胚ですか?

一般的に採卵された卵子は翌日の朝に受精状況を確認します。その後2日目で2分割、3日目で4分割、8分割と成長していきます。やがて桑実胚という状況を経て5日目に胚盤胞となります。

分割期と胚盤胞、それぞれの段階で決められた評価基準から見た目でグレードをつけ、良好胚かどうかを判断します。

評価基準は、分割期では分割した細胞が均等であるか、胚盤胞では細胞の広がりや、細胞の多さ等があります。

Q:あまった卵はどうしますか?

採卵にて複数個の卵がとれた場合や、採卵後の身体の状態が移植に適していない場合は、凍結保存します。

凍結保存することで、採卵とは違う周期に身体の状態を整え移植を行うことができます。

Q:新鮮胚移植と凍結胚移植の違いは?

新鮮胚移植は、採卵を行った周期に体外で受精・培養させた胚を移植することをいいます。

凍結胚移植は、採卵を行い受精・培養させた胚を一度凍結させ、採卵とは違う周期で子宮内膜を調整し、凍結した胚を融解して移植することをいいます。

Q:新鮮胚移植と凍結胚移植のメリット・デメリットはありますか?

新鮮胚では凍結という胚へのストレスがなく、採卵と同一周期にて移植を行う為、採卵から移植までの期間が短いです。ただホルモンや体調等により移植できない場合もあります。凍結胚では、胚を一旦凍結するためストレスがかかってしまい、移植は採卵の翌周期以降となる為、移植までの期間が長くなってしまいます。移植日を予測し、ホルモン状態を整えていくため体調やスケジュール管理が可能です。どちらの移植方法もメリット・デメリットがありますが、実際の治療では採卵時の体調やホルモンの値などを参考にして移植方法を決定していきます。

Q:凍結している卵はいつでも移植できますか?

排卵日確認や、周期の調整は必要ですが、基本的にはいつでも可能です。

Q:胚の凍結はいつまで可能ですか?

凍結した胚は半永久的に保管が可能といわれていますが、実際に移植を行う場合を考慮すると、女性の生殖年齢(約50歳まで)期間までを凍結保管期間と考えております。

Q:卵を凍結して5年以上が経過しましたが、移植に問題はありませんか?

現在は凍結・融解の技術が進歩しており、凍結した胚は凍結タンク内で適切な液体窒素量で安全に保管されていれば、ほぼ半永久的に凍結保管が可能といわれています。

Q:初めての移植ですが、2個移植は希望できますか?

日本産婦人科学会では多胎になるリスクを考え、35歳以下の初回の体外受精では1個移植とするよう定められています。

多胎になると赤ちゃんのその後の成長だけでなく、母体へのリスクも起こりうる為、初回以外でも原則1個移植としております。

移植を数回行っても妊娠がみられない場合や、胚のグレード、年齢等により2個移植を行う場合もあります。その都度の状態で移植前に相談し決定させて頂いております。

Q:胚盤胞移植のメリット・デメリットはありますか?

まず胚盤法移植は、分割期胚移植と比べて着床率が高いです。

本来受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら卵管から子宮へと移動し、子宮内で胚盤胞に到達した後、着床します。その為、本来はまだ卵管内にいるはずの分割期胚を、子宮内に移植する分割期移植より自然に近いと考えられます。また胚の約40%は染色体異常があるといわれ、なんらかの異常や生きる力の弱い胚は体外で胚盤胞まで育つことができない為、自然に良好胚のみが残っていくという点もあります。

デメリットは、上記に記載したように全ての胚が胚盤胞まで到達することは難しい為、胚が少ない場合には、ひとつも胚盤胞まで辿り着けないケースもあります。

Q:抗精子抗体とはなんですか?

女性の体の中でつくられる抗体で、精子を排除する為の抗体です。

この抗体が女性の体内の中で作られてしまう場合は、自然妊娠は難しいといえます。